三菱電機の廃棄物削減活動について

三菱電機は、地区単位で連携した廃棄物削減活動を強化する。2007年から関西ブロックでリサイクルシステムを構築したのに続き、08年末から九州ブロックでも実施。両地区とも大幅な廃棄物削減や物流の効率化が図れたため、残る関東、中部ブロックでも今年度内に検討を重ね、11年度以降順次、地区連携の廃棄物削減を開始する計画だ。工場単位で廃棄物対策に取り組む企業は多いが、複数の工場間が連携するのは珍しい。

九州地区では、09年度に廃棄物処理費用を約2000万円削減したほか、廃棄物の物流面でも小型から大型トラックへの変更などによる効率化効果で185台分のトラックを減らし、金額にして約600万円の削減を実現した。

同社は当初、環境負荷低減のため、全国に24ある工場や100を超える関係会社の廃棄物について、各工場、関係会社単位で対策をとってきた。しかし、知識不足から有用物を廃棄する事業所があったり、廃棄物を運ぶ物流面でもコスト意識が低いなどもあって、グループ全体ではもっと無駄を省けると判断。まず07年以降、関西に点在する工場や関係会社を連携した「関西地区リサイクルシステム」を構築した。
ここでは、廃食油の燃料化や発泡スチロールの溶融固化により再生プラスチックの製品化を行うなど、新たな廃棄物のリサイクルに成功した。

 この成功体験をベースに、08年末からは福岡県の同社パワーデバイス製作所を中心とした九州地区の4事業所と関係会社3社の計7拠点が連携し、廃棄物処理の改善に取り組んだ。

 ただ、関西ブロックの場合とは異なり、「半導体製造と大型モーターと、拠点により扱う製品の違いが大きく、まさにゼロからすり合わせていった」(小野裕樹・三菱電機長崎製作所工場管理課専任)と苦労の連続。
関係会社も巻き込み、2カ月に1回の定例会議で互いの事業所などを巡回したり、廃棄物業者の見学会などを頻繁に行い、互いに不足している点などを確認、無駄の洗い出しを実施した。
その結果、九州地区では廃棄物の輸送面で無駄の削減ができると判断。それまで廃棄物業者が事業所から小型トラックの定期便で輸送していたが、これを必要時に大型トラックに積載率100%の状態で運んでもらうようにしたほか、処理業者からの往路便で北九州で安く購入できるウエス(機械の汚れなどをふくための布)や軍手といった備品を運び、往復とも空荷が出ないようにするなど6項目以上に及ぶ改善を図った。

これらにより、金額面だけでなく、輸送効率の大幅向上とそれに伴う温室効果ガス削減を実現したという。

同社は関西、九州、関東、中部の4ブロックに工場が集中している。このため、関西、九州地区の成功ノウハウを活用し、残る関東地区、中京地区でも同様の取り組みを開始する。

 全拠点で実施した場合の削減効果は未定だが、「九州の事例を踏まえても相当な効果が期待できる」(鷹野敏彦・環境推進本部担当課長)とみており、対策を急ぐ。

 大企業になると、各工場や関係会社などで“文化”や習慣が異なるなど意思統一を図るのは一筋縄ではいかないため、廃棄物削減で複数の工場が連携する事例はほとんどない。三菱電機では今回、廃棄物対策を通じて構築した人的交流も活発化し、環境対策が本業にも好影響を与えるなど想定外の効果も出ているという。今後は他社でも同様の取り組みが登場する可能性がある。

※記事お借りしました。

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